秋の雰囲気漂う仙台市で、メルローを収穫

宮城県仙台市にある「秋保ワイナリー」で、ワイン用ブドウの収穫のお手伝いをさせてもらいました。秋保ワイナリーは、仙台駅から車で30分ほどの秋保温泉郷にて、2015年にオープンしたワイナリー。オープン当時は宮城県唯一のワイナリーでしたが、その後、県内でぽつりぽつりとワイナリーが新設されたそう。現在、宮城県内には5〜6軒のワイナリーがあります。

秋保ワイナリーのワインは以前、友人の家で飲んだことがあり、その存在は知っていました。後日、ネットでワイナリーについて調べたところ、「ワインで東北の食文化をつなぐ」というコンセプトを掲げているのを知り、その姿勢に惹かれたのを覚えています。今回は、SNSで収穫ボランティアを募集していると知り、思い切って参加することに。

ワイナリーは、小高い丘の上にありました。この看板が目印
丘を登ると、目の前には広大なブドウ畑が。ブドウ畑の隣には、醸造所や広場などがあります
ワイナリーの敷地内にあるショップでワインを購入することもできます。ワインのほかにはシードルや雑貨なども

秋保ワイナリーにはレストランもあり、気になるワインをグラスで飲むこともできます。この日、私が試飲したのは、「第12回サクラアワード」で銀賞を受賞した「鮨ワイン」。その名のとおり、お寿司に合わせることを念頭に置いて造られたワインです。心地よい柑橘系の香りを引き出すため、製造過程に、低温での「醸し発酵」を取り入れているそう。実際に飲んでみた時、最初に感じたのは「穏やかさ」。酸味も口あたりもとても優しく、主張しすぎない爽やかな香りがスーッと口や鼻腔に広がります。たしかに、お寿司をはじめとする繊細な食事にぴったり合いそうです。

収穫作業を始める前には、収穫のコツを教えてもらいました。まず、ハサミを入れる位置について。ブドウの果梗(ヘタ)を長めに残すことを意識しつつ、枝から房を切り取るよう伝えられました。長い果梗は“持ち手”になるため、後々、房を扱いやすくなるようです。また、採ったブドウをよく見ると、ピンと張りがある果粒に混じってレーズンのように萎んだ果粒があることに気がつきます。このレーズンのような果粒を一つ一つ、取り除くのも大切な作業。この作業をすることで、後々、ワインの味わいが変わってくるのだとか。

合計30名ほどで2時間弱、収穫作業をしたところ、たくさんのブドウが採れました。ブドウでいっぱいになったコンテナがいくつも積み重なっています。

この日収穫したのは、赤ワイン用ブドウ品種のメルロー。ワイン大国の一つであるフランスで広く栽培されている、メジャーな品種です。粒はデラウェアと同じくらいの大きさで、皮は黒にも近い、深い紫色。また、お昼時に収穫したメルローを試食させてもらったところ、意外な味わいに驚かされました。多くのブドウの種は固いうえに渋くて食べられませんが、メルローの種はパリパリと噛み潰すことができ、渋みもずっと少なめ。果肉には穏やかな酸味と甘みがあり、えぐみや苦味はほとんどありませんでした。

この日の秋保温泉郷は暑くもなく寒くもなく、心地よい風が吹いていました。こうした過ごしやすい日に、屋外で作業するのは気持ちがいいものですね。しかも秋保ワイナリーの周りには、緑豊かな山や清流の名取川など、自然がたっぷり。こうした豊かで美しい自然のもとブドウが育まれ、そしてワインが造られているんだなぁと、なんだか嬉しくなりました。今後ワインを飲む時は、こうした豊かな自然が目に浮かぶはず。ますますワインが好きになりました。


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